「和尚のひとりごと84」より「白本尊(しろほんぞん) 黒本尊(くろほんぞん)」の解説です。
白本尊(しろほんぞん) 黒本尊(くろほんぞん)とは徳川家康公が守り本尊とされた2体の阿弥陀仏像でございます。
常に、身のそばに安置して、戦のときも馬の腰に乗せていき、本陣に安置していたといわれています。
白本尊は家康公が大樹寺で五重相伝を受けられた際に譲り受けられたといわれる阿弥陀仏像です。
白本尊と呼ばれる由来は、お像の一部に白い顔料が付着していたことからです。初めは、白い仏像だったのではないかといわれています。(その後、何度か金箔の塗り直ししているため現在は、ありません。)
現在は、「浄土宗 宝台院」(静岡市葵区常磐町2丁目13-2)というお寺に安置されています。
黒本尊は永禄6年(1563年)三河岡崎の明眼寺から譲り受けられたといわれています。
この頃は、三河一向一揆勢との戦(いくさ)をしていました。
そんな折に、明眼寺にて一揆勢との戦が終わるようにと祈願されました。後に一揆勢と和睦できたことから、自身の守り本尊にと希望されたと云われています。
黒本尊は、恵心僧都源信の作とされています。代々、清和源氏の守り本尊でしたが、源九郎義経(みなもとのくろうよしつね)公が、陸奥(東北地方)に逃れるさいに、三河岡崎の村の長者に預けられました。のちに、明眼寺が建立されたときに奉安されたといわれています。
黒本尊の由来は、九郎義経公の守り本尊であったことから「くろうのほんぞん」が「くろほんぞん」になったといわれています。
現在は浄土宗 大本山 増上寺(東京都港区芝公園4-7-35)の安国殿に安置されています。
「勝ち運の仏さま」「開運の仏さま」として信仰をあつめています。
「黒本尊」の阿弥陀様は普段は公開されていません。「正五九黒本尊祈願会」といわれる法要の時に公開されています。「正五九黒本尊祈願会」は正月、五月、九月の各15日に行われる祈願法要です。