一心に敬って十方法界常住の仏を礼したてまつる
一心に敬って十方法界常住の法を礼したてまつる
一心に敬って十方法界常住の僧を礼したてまつる
三宝と申しますのは、仏と法と僧で、仏教徒は昔からこの三つをこの上もない宝、変わることのない宝として尊敬し帰依してきました。この三宝を礼拝するところから、「三宝礼」というのでありますが、その言葉は中国の宋の時代に、遵式(じゅんしき)という方が書かれました「往生浄土懺願儀」に出ているものであります。一心敬礼とありますように、遵式はこの言葉を唱えて、心から三宝を尊敬し、一心に礼拝されたのであります。
おつとめの初めにあたって、まず香をたいて「香偈」を唱えて、身も心も浄らかにありたいという願いの動くところ、それは自然に三宝を礼拝する行いに進められていくのであります。
三宝を敬う心が鏡となって、自らのけがれた姿を写し出す時、これを浄めようという願いが起こるのであり、三宝を敬う心も、さらに強められて、やがて礼拝という行いとなってあらわれてくるのであります。「香偈」の最後に十方三世一切のみ仏を供養したてまつろう、という言葉が出てくるのであって、そのような心の運びにおいて、「香偈」から「三宝礼」へ繋がっていくのであります。