今回より月参りでおつとめさせて頂いている「浄土宗 日常勤行」について、お話してまいります。
「香偈」
願わくは我が身浄きこと香炉の如く
願わくは我が心智慧の火の如く
念念に戒定の香を焚きまつりて
十方三世の仏に供養したてまつる
この香偈の文は、善導大師の「法事讃」巻上に記されているものでありまして、阿弥陀仏に対する信仰の思いが、歌となって流れ出たものであります。
み仏に花をささげ水を供え、灯明をともし線香をあげて、その前に座り合掌しますと、さまざまな心の動きが、み仏と一つに繋がる思いの中に、全てまとめられて静かに落ち着いてくるのであります。そうしますと平素の濁った心、その心から引き起こされた間違った行いが反省されて、身も心も浄らかになりたいという願いが起こり、そこでうやうやしく香を焚いて、み仏に表白する、これがすなわち「香偈」であります。
「香偈」がおつとめの第一におかれているのは、この身も心も浄らかでありたいという願いが、終始一貫しておつとめを行う精神的基盤となるからであります。
次回は三宝礼について書こうと思います。