和尚のひとりごとNo1114「法然上人一代記 43」

43.旧仏教による非難

法然上人の勧める専修念仏の教えは次第に世に広がり門弟も増えましたが、中には悪を為しても念仏さえ唱えれば救われるといった勝手な解釈をする者たちも現われ、あまつさえそれらの者たちが世間を騒がすようになりました。そして今まで表立って活動をしていなかった聖(ひじり)と呼ばれる僧たちの活躍も目立つようになり、旧来の仏教勢力である南都(奈良仏教)、北嶺(比叡山)にしてみれば歓迎すべからざる状況であったのは確かです。
元久元年(一二〇四)には延暦寺衆徒が念仏停止を座主(ざす)真性(しんしょう)に訴える事態を招き、法然上人は軋轢(あつれき)を避けるため、急進的な傾向を持った門弟たちに向けて専修念仏者としての戒めを起草されることになります。