和尚のひとりごとNo1104「法然上人一代記 33」
33.大仏再建
ではそなたの門人の中より誰かご推挙願えますか?
それでは醍醐に住まう俊乗房重源(しゅんじょうぼうちょうげん)殿を推挙したい。かつて真言にて修行を積み、今はお念仏の教えにも親近な私の門人です。必ずや大仏殿復興の仕事を成し遂げるでありましょう。
門人の中でも人望篤いことで知られた重源は、13歳で得度し17歳に至ると四国地方を巡り、大和大峰山にて修行、信濃善光寺をはじめ加賀、越中と各地をめぐり、法然上人と結縁すると自ら南無阿弥陀仏と号するほどに念仏の教えに傾倒した僧であります。法然上人の請いによって中国へ留学して、浄土五祖の絵図を持ち帰りました。浄土五祖とは曇鸞(どんらん)、道綽(どうしゃく)、善導(ぜんどう)、懐感(えかん)、少康(しょうこう)であり、いずれも唐代、宋代にかけて浄土の法門を称揚した高僧たちです。
法然上人の推挙で大勧進職となった重源は自ら造った一輪車に乗り諸国を巡歴し、10年もの年月をかけてついに文治元年(一一八五)八月、大仏の開眼供養を行って大業を成し遂げました。