和尚のひとりごと№1215「聖光上人御法語後遍二十二」
和尚のひとりごと№1215「聖光上人御法語後遍二十二」
問うて曰く、念仏三昧(ねんぶつざんまい)とは何の義ぞや。
答えて曰く、念仏三味とは是れ不離仏(ふりぶつ)の義なり。
問うて曰く、不離仏とは何の義ぞや。
答えて曰く、不離仏とは値遇仏(ちぐうぶつ)の義なり。
問うて曰く、値遇仏とは何の義ぞや。
答えて曰く、値遇仏とは因地下位(いんぢげい)の菩薩(ぼさつ)は必ず果地上位(かぢじょうい)の如来に値遇(ちぐう)して、刹那片時(せつなかたとき)も仏を遠離(おんり)すべからざること、譬(たと)えば嬰児(えいじ)の母を離れざるが如し。
問うて曰く、菩薩、仏(ほとけ)を離れざることは何の要ありや。
答えて曰く、下位(げい)の菩薩は必ず上聖(じょうしょう)の加護(かご)を被(こうむ)るが故なり。
訳
不離仏(ふりぶつ)・値遇仏(ちぐうぶつ)
問うていわく、念仏三昧(ねんぶつざんまい)とはどのような教えか。
答えていわく、念仏三昧とはこれ仏より離れることなき教えである。
問うていわく、不離仏とはどのような教えか。
答えていわく、不離仏とは仏と知遇する(値遇仏)教えである。
問うていわく、値遇仏とはどのような教えか。
答えていわく、値遇仏とは修行過程がいまだ下位(げい)の位にある菩薩が、必ず菩薩道を上位にまで上り詰めた如来に知遇し、片時も離れることなきこと、あたかも幼子(おさなご)が母より離れることがなきが如くを言う。
問うていわく、菩薩が仏より離れぬことにどのような必要性があるのか。
答えていわく、下位の菩薩は必ず尊敬されるべき上位の方の加護の被(こうむ)ることになるからである。