和尚のひとりごとNo1097「法然上人一代記 26」

26.観音さまのお告げ

この六角堂は聖徳太子の本地仏(ほんちぶつ)である救世(ぐぜ)観音(かんのん)を祀っております。行に入って九十五日目、夢の中に救世観音が現われました。
「あなたの悩みはよく分かる。もしその悩みを解決したいならば、ここより東の方数里のところ、東山のふもと吉水の庵に法然という僧がいる。そこに赴いてその法を聴くがよい」
この夢告があったのち、残り五日間で行が終わるのを待たずに吉水へと向かいました。
草庵には、法然上人の教えを聞こうと民衆が日々参集していたと言われます。範宴もその一人となり百日にわたり教えを聴聞します。そして上人の教えに導かれて念仏の道に入ったのです。
範宴はその後その名を綽空(しゃっくう)と改め、さらにのちには親鸞となったのちの浄土真宗の礎を築きました。