和尚のひとりごとNo1090「法然上人一代記 19」

19.遊蓮房円照(ゆうれんぼうえんしょう)
さて法然上人が比叡山より京へと下った同じ頃、京の都の西方、西山は広谷に草庵を結び仏道に精進する一人の僧がおりました。その名を遊蓮房円照、もと少納言藤原通憲(しょうなごんふじわらみちのり)の子でありましたが平治の乱によって配流の身となり二一歳で道心を得たと言われています。
当初は法華経を熱心に学び、後には一向念仏に励むまことに真面目な行者でありました。特に善導大師の勧める口称念仏を実践し、毎日三時高声念仏して念仏三昧の境にあったとも伝えられます。
道心堅固なる性格とはうらはらに体は細々と病弱であり、俗を嫌い仏道に邁進するその姿は一族こぞって尊ぶほどでありました。