和尚のひとりごと№1469「偈文62」

和尚のひとりごと№1469「偈文62 七仏通戒偈」

七仏通戒偈(しちぶつつうかいげ)

(意味)

すべての悪をなすなかれ、多くの善を実行せよ、そして、自らの心を浄めよ、これが諸仏の教えである、

釈尊を含む七人の仏(過去七仏)が共通して説いた教えを一つにまとめた、戒の根本の偈文。過去七仏とは、毘婆尸(びばし)仏、尸棄(しき)仏、毘舎浮(びしゃふ)仏、俱留孫(くるそん)仏、俱那含(くなごん)仏、迦葉(かしょう)仏、釈迦牟尼仏をいい、七仏は古今に通じる仏教の真理の永遠性を象徴している。『景徳伝灯録』という書物には、白居易(はくきょい 漢時代の詩人 白楽天)が鳥窠道林(ちょうかどうりん)に仏教の大意を質問すると、師は「諸悪莫作最善奉行」と答えた。さらに白居易が、「そんなことは三歳の子どもでも知っている」と言うと、師は「三歳の子どもでも知っていることが、八〇歳の老人でも行うことはできない」と答え、これを聞いて白居易は師に礼をなしたという。
『一百四十五箇条問答』には「廃悪修善は諸仏の通戒なり。しかれども当時の我らはみなそれには背きたる身ともなればただ偏ひとえに別意弘願べっちぐがんの旨を深く信じて名号を称えさせたまわんに過ぎそうろうまじ」とあり、われわれは諸仏の戒を持たもてない凡夫だから、ただ念仏に生きよと示しています。