和尚のひとりごと№1917「祝聖文①」
和尚のひとりごと№1917「祝聖文①」
新年のご挨拶うを申し上げます。
年始劈頭にあたり祝聖文をご紹介いたします。
天下和順 日月清明 風雨以時 災厲不起 國豐民安 兵戈無用 崇徳興仁 務修禮讓
「てんげわじゅん にちがっしょうみょう ふうういじ さいれいふき こくぶみんなん ひょうがむゆう しゅうとくこうじん むしゅらいじょう」
修正会、勅諡記念会、地鎮式、起工式、立柱式、上棟式、落慶式、撞初(つきぞめ)式などで唱える回向文ですが、特に年始の修正会においては、新しき年の初めに、今年一年を通して災いなく世が安穏である事を願いお唱えしています。浄土宗所依の浄土三部経に含まれる康僧鎧訳『無量寿経』下「五悪段」に出てきます。
その一節は次の通りです。
佛所遊履 國邑丘聚 靡不蒙化 天下和順 日月清明 風雨以時 災厲不起 國豐民安 兵戈無用 崇徳興仁 務修禮讓
佛所遊履 國邑丘聚 靡不蒙化
仏の遊履するところの、国邑・丘聚、化を蒙らざるはなし。
意味)仏がめぐり至るところ、国も町も集落も、仏の教導の及ばぬことはない。
ここに言う「佛(仏)」は無量寿国(極楽浄土)を説示する釈迦牟尼世尊(お釈迦さま)です。
「遊履」は遊行のこと。かつては一所不住が出家者の生活スタイルであり、釈尊と仏弟子たちも雨季の一時期を除き旅をして修行し、人々を教化しました。
「國(国)邑丘聚」で国や人々の集まり住んでいる村落、町、集落などを意味します。
※勅諡記念会(ちょくしきねんえ)
法然が天皇より諡号(しごう)を賜ったことを記念して行う法会です。勅書謄本を奉安して修します。
「祝聖文②」へ続く