和尚のひとりごと№1178「聖光上人御法語前遍十六」
和尚のひとりごと№1178「聖光上人御法語前遍十六」
決定往生(けつじょうおうじょう)せんずるなりと思い取って申す念仏は、誠(まこと)の心(こころ)を至さんと教ゆる至誠心(しじょうしん)も此の心に納(おさま)りぬ。またこの阿弥陀仏の本願に疑いを成さず、決定往生すべきぞと思えと教ゆるに、深心(じんしん)も此の内(なか)に納まりぬ。第三の廻向発願心(えこうほつがんしん)も申したらん念仏を一脈(ひとすじ)に決定往生せんずるぞと願えと教ゆるに、廻向発願心も此の内(なか)に納まるなり。明(あき)らかに知んぬ、決定往生せんと思い切って申す念仏に三心(さんじん)はみな納まるなりと云う事を。
訳
決定(けつじょう)往生(おうじょう)せんと思う心
必ず往生を遂げようと深く思い確信をもって称える念仏は、まことの心であろうとする至誠心(しじょうしん)もこの中に含まれているものである。
またこの阿弥陀仏の本願に疑いをはさまず、必ず往生するのだと思えと教える深心(じんしん)もまたここに含まれている。
第三の廻向発願心も、上来述べきたる念仏をただひとすじに称えながら、必ず往生する事を願えと教えるのであるから、廻向発願心もまたここに含まれているのである。
明らかに知るように、必ず往生するのだと覚悟をもって称える念仏の中に三心(さんじん)はことごとく含まれているのだという事を。
至誠心(しじょうしん)
阿弥陀仏の極楽浄土へ往生する者が具足すべきまことの心のこと。
三心(さんじん)
極楽浄土へ往生する者が持つべき三種の心。至誠心・深心・回向発願心のこと。