和尚のひとりごと№1174「聖光上人御法語前遍十三」
和尚のひとりごと№1174「聖光上人御法語前遍十三」
第三に廻向発願心(えこうほつがんしん)とは、廻向(えこう)という文字をば廻(まわ)し向(むか)へとよむなり、発願という文字をば願い発(おこ)すとよむなり。されば我がこの申したる念仏を以て極楽(ごくらく)に往生せんと思う志(こころざし)は廻し向(むけ)る心もあり、往生を願う心もあり、故(ゆえ)に是れを廻向発願心というなり。世の中の人、功徳善根(くどくぜんごん)を造(つく)って志(こころざし)願い思い廻(めぐ)らすを廻向発願心というなり。
訳
廻向発願心(えこうほつがんしん)
第三に廻向発願心について、廻向とは「回(まわ)し向(む)かえ」と読むのであり、発願の文字は「願(ねが)いおこす」と読むのである。であるからわたくしがこのように申す念仏によって極楽へと往生しようと思う志(こころざし)には、念仏の功徳をわが身に回し向ける心もあり、それによって往生を願う心もあり、であるからこそ廻向発願心という。また世間の人々、功徳や善根を積んでそれによって往生の志へと回し向けることをも廻向発願心というのである。