五重相傳会コロナ対策

去る令和2年11月19日より23日まで開筵致しました当山玉圓寺 五重相傳會 これを成功裡に終えることができたのも、長い準備期間と多くの人たちのご協力があってこそであったと考えております。

またその事に加えて、この度は新型コロナウィルスの感染が心配される難しい状況でしたが、幸いにも五重相伝を開催した昨年令和2年11月の時点では非常事態宣言は出されておらず、国等からの明確な指針もない状況でありました。もし令和3年1月の現在のような情勢下であれば、当然延期を検討せざるを得ないという認識は私たちも共有していました。
ただそうは言っても平常時ではない中での事、万全の対策と緊張感をもって臨んだことは確かです。 今回は私たちが実際に講じた対策をご紹介致します。

まず感染対策の肝となる清掃や消毒に関しては、五日間にわたり専属の担当者を配しました。 受者の皆さまがお越しになるまでに、早朝より屋外・屋内の清掃を行います。
玄関から入って頂く際には、手指の消毒・検温を欠かさず行い、入室後はすぐに喉のうがいをして頂き、期間中は常時マスク着用をお願いするとともに、お寺より全員にフェイスガードを支給致しました。

また行の期間中は、休憩時や食事の際など、受者の皆さまの移動がたびたび発生します。
その度ごとに、本堂や座敷、通路において、皆さまが座った椅子やテーブル、手すりなどのアルコールによる拭き上げ清掃を行いました。
お手洗いを済ませた方の手に漏れなく消毒が行き渡るように、扉の外に担当者が常に控えていました。
私たち主催側も自らに同様の配慮を行い、消毒等を徹底したことは勿論です。

お食事(食作法)の着座については、対面を避ける為、全員が中庭を向く形とし、お話を控えて頂く黙食と致しました。
食事は仕出し弁当にて、お茶や水は全て使い切りの紙コップにて提供しました。
また本堂においても同様ですが、受者がいる空間は常に換気のために窓を開放し、大型の空気清浄機を本堂と食堂に各2台づつ設置し稼働させました。
五日間の全工程において、ソーシャルディスタンスを保てるように、移動(行道)の際の誘導、待機・着座の位置決めを行いました。しかしながら結果としては、参加者は当初見込んだ人数の約半数となり、当寺のキャパシティを考慮してもスペース確保が比較的容易となった事は幸いでした。

開筵を遡ること一ヵ月間、参加予定の皆さまには、ご自身での体調管理と日常生活における衛生面での十分な配慮をお願い致しました。結果としては、受者の皆さま御自身にも、コロナ禍の難しい状況の中で五重相伝を成功させるための自覚をもって頂けたと考えております。

その他、ともに五重相伝をつくり上げた寺方の御上人方をはじめ、寺族、寺内スタッフなど、今回の五重相伝に関わった全員が一丸となって、五重相伝満行に向けた体調管理を徹底したことは言うまでもありません。

さて本年令和3年2月の浄土宗より出されている宗報に掲載されている宗議会議事録では、 コロナ禍においては多くの寺院が五重相伝の取りやめや延期の決断を下さざるを得ない状況である事、またコロナ禍の中でどのように五重相伝を開筵すべきなのかについて、マニュアルつまり明確な指針を示して欲しいという要望が出されていました。またこのような危惧が共有されると同時に、参加人数などを配慮した上で五重相伝を行うことは宗にとり有難い事であると明記されています。
あるいは我が国以上に感染の影響が大きいであろう海外の開教寺院をめぐる状況や対応についての関心も高まっているようです。

檀信徒に教えの奥義を相伝し、まことの念仏者として人生を歩んで頂くための、私たち浄土宗にとって大切な法要である五重相伝、これをコロナ禍でどのような形で行うべきなのか、この事は今最大の関心事の一つだと言えると思います。

令和3年1月号の宗報によれば、五重相伝を奉修したのは当寺一箇寺のみという事、様々な状況に恵まれて結果的に皆さまが無事成満できた事に対して改めて感謝するとともに、当ホームページが関心を寄せる皆さまにとり参考になれば幸甚と考えております。

 

五重相傳会コロナ対策

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