和尚のひとりごとNo1089「法然上人一代記 18」

18.二祖対面の奇跡

さて法然上人にとり阿弥陀如来さまの化身同然であった善導大師の『観経疏』の一節、これによりお念仏の教えに開眼(かいげん)
された法然上人はその夜、有難くも不思議な夢を見ました。夢の中にはそそり立つ山岳のふもとに大河が流れ、遥か西方には紫雲(しうん)たなびき、霊鳥(れいちょう
)が飛び交う中、一人の僧が現われました。

上半身は墨染(すみぞめ)の黒き衣、下半身は金色(こんじき)に輝いておりました。

法然上人は尋(たず)ねられます。

「何人(なにびと)でございますか?」

僧が答えるに

「私は善導である。あなたはこれからお念仏を広めようとされている。これが世にも尊い事であるので私はあなたの前に現われたのだ。」

この二祖対面(にそたいめん)は、法然上人が受け継がれたお念仏の教えが善導大師のものと同じであることを証(あか)
し、またインドより脈々と受け継がれた正当な教えであることを示しています。

法然上人はこの対面の絵図を好んで人々に示され、現在でも浄土宗で祀られる善導大師のお姿はこの時のお姿を表わしています。