和尚のひとりごと№1222「聖光上人御法語後遍二十九」
和尚のひとりごと№1222「聖光上人御法語後遍二十九」
つねに述懐(じゅつかい)には、人ごとに閑居(かんきょ)の所をば、高野(こうや)・粉河(こかわ)と申しあえども、我が身には、あかつきのねざめのとこにしかずとぞおもうと。
また安心起行(あんじんきぎょう)の要(よう)は、念死念仏(ねんしねんぶつ)にありとて、つねのことわざには、出(いず)る息、入る息をまたず、入る息、出る息をまたず、助けたまえ阿弥陀ほとけ、南無阿弥陀仏とぞ申されける。
訳
念仏行者の住所
師、常日頃の述懐(じゅっかい)されるには、人は終(つい)の住処(すみか)を高野の山にしようか、あるいは粉河(こかわ)にしようかと話し合っているが、我が身としては夜明けを迎えた寝床に及ぶ処(ところ)はないと考える。
また安心・起行の要は、死を念じ、仏を念ずることにありとされて、常に仰るには、今吐く息は次の吸う息を待たぬものであり、今吸う息は次の吐く息を待たぬものであり、助け給え、阿弥陀ほとけ、南無阿弥陀佛と仰るばかりであった。