和尚のひとりごと№1165「聖光上人御法語前遍四」
和尚のひとりごと№1165「聖光上人御法語前遍四」
阿弥陀仏の正意
阿弥陀仏は人に幸(しあわせ)を授(さず)け、寿命を延(の)べ、官位を施(ほどこ)したまうという様様(さまざま)の利益(りやく)はみな是れ傍意(ぼうい)なり。ただ是れ阿弥陀仏の正意(しょうい)は一切衆生を極楽浄土に往生せしめんと思(おぼ)しめすこそ此の仏の正意なり、本願にて候(そうろう)。
阿弥陀仏の本願往生と申すは、いかなる人までも十方の衆生ただ名号(みょうごうを唱(とな)うる人、みな浄土へ迎えたまうを念仏往生の本願とは申し候なり。
訳
阿弥陀仏がこの世で幸せをもたらしたり、人の寿命を延ばしたり、ましてや官位を授け昇進させるなどという様々な利益は、みな全て付随的な意味しか待たない。
阿弥陀仏の本来のお心については、全ての衆生を極楽浄土へと往生させようと思召(おぼしめ)している事こそが仏の本意(ほんい)であり、本願の意図するところである。
阿弥陀仏の本願によって往生するとは、十方世界において、たとえどのような人であろうともただ仏の御名を唱える人を、皆ことごとくその浄土へと迎え取らんとすることを、念仏往生の本願と呼ぶのである