和尚のひとりごとNo1094「法然上人一代記 23」
23.遊蓮房の入寂
「浄土の法門と遊蓮房とに会えるこそ、人界(にんがい)の生(しょう)を受けたる思い出に侍(はべ)れ」
浄土の御教(みおし)えと遊蓮房に出会えたことこそが、この世界で人の身を頂いた中で際立った思い出である。法然上人が比叡山の別所黒谷から京の町へと降り立ったことに意味があるのは、まさしくこの遊蓮房との出会いによると言えましょう。
法然上人より年若きこの遊蓮房を法然上人は当初、師と仰いでいたと言われます。だがやがて法然上人のお念仏の教えの真髄に触れた遊蓮房が法然上人を師と仰ぐようになりました。
遊蓮房は齢(よわい)三十九歳で往生したと伝えられます。その際、命終(みょうじゅう)に臨(のぞ)んで九遍まで念仏を称えた後、「もう一念」との法然上人の声に励まされ、高声に一念し往生を遂げたということです.